Eテレで学ぶノートル=ダム・ド・パリ
NHKの受信料ちゃんと払ってますか?
勝手に電波を流しておいてお金を取るなんて…と思う人がいるのも理解できますが、私はお値段以上に楽しんでいます。
月曜日の21時からはテレビに噛り付きEテレを眺めるのが週始めの享楽。
料理番組からドイツ語まで楽しんで学ぶことが出来ますよ。
特に楽しみにしているのが"グレーテルのかまど"という番組で、ヘンゼルとグレーテルの末裔の弟の方が喋るカマドと共に毎回美味しそうなお菓子を手作りします。
歴史や文化的背景と共に様々なスイーツを紹介してくれます。
なかなかマニアックなものも多く面白いですよ。
なんと、サイトにてレシピを掲載してるので誰か作って寄越して下さい。
終わると趣味どき!やらマル得マガジンやら続いていくのですが、その後に"100分de名著"という番組が放送されます。
1回25分の番組なのですが、4週かけて1冊の小説を解説するので合計100分になるという構成ですね。
昨日一冊目の解説が終了したのでレポートがてら書き残したいと思います。
最初の本は『ノートル=ダム・ド・パリ』
ノートルダムの鐘ですね。原作は非常に長いそうです。
私は一度も読んだことが無い上に、ディズニーが製作したものですらあんまり覚えていなかったのでとても新鮮味がありました。
・カジモド・・・・・・背中にコブが乗った醜い男性。
ノートルダム大聖堂の鐘番をしており、外に出ることは無い。
耳が聞こえず目もよくない。大聖堂を物理的に愛しクロードに
忠実に従う愛を知らない人。
・クロード・・・・・・厳格な司教であり、孤児で引き取り手がいなかったカジモドの
父親的存在。大聖堂の教えを愛し、神に尽くす敬虔な人物。
乱痴気騒ぎの折に見かけた広場で踊る美しい娘
エスメラルダに猛烈に心を惹かれてしまう。
・エスメラルダ・・・乞食や貧民が暮らす裏社会で生きる美しいジプシーの娘。
タンバリンを叩き松明の燃え盛る中輝くように踊り様々な
人間を魅了する。心優しく、裏社会に迷い込み処刑されそう
になっていた劇作家を助けるために結婚し夫婦になる。
が、フェビュスを盲目的に愛している。
フェビュス殺人容疑で絞首刑を言い渡される。
・フェビュス・・・・騎士隊長のイケメン。
婚約者がいるが、エスメラルダを助けた折に一晩を共にする。
その際クロードに殺されかけるが生きている。
エスメラルダの絞首刑が決まっても婚約者を隣に連れ冷ややか。
他にも登場人物はいるのですが、主要なのはこの4人。四者四様に歪んでいます。
人物像を見るだけでハッピーエンドの線が消えますね。
クロードやカジモドがエスメラルダに熱を注ぐことによって物語が展開していくの
ですが、愛情のかけ方が正反対です。
生まれてこの方愛情を感じたことがない哀れなカジモドはエスメラルダにとにかく尽くします。尽くすことが彼なりの愛であり、喜びです。
フェビュスを求めて泣く彼女の為になんとか連れてこようと奮闘したり、彼女を守るために民衆に熱々の鉛をかけたりします。
一方クロードはエスメラルダを腹の底から求め、悪魔と罵りながらも自分の物にしようと画策します。処刑されるように裏で手を回しつつ、
「自分なら助けてやれる。その代わり愛せ。愛さなければ死ね。」
などと意味不明の発言をします。愛を得るために愛を殺すなんて自己中心的ですね。
エスメラルダはフェビュスを愛し、死を翳されてもなおクロードの手に堕ちません。
カジモドが献身的な愛を注いだところで全く靡きません。
一心不乱にフェビュス様を求めます。でも、夫いますよね・・・。
誰が主人公かは場面場面による様で、カジモドだけではないという所に驚きました。
また、人間の醜い心理を描きながらも街並みや場面の切り替えを巧みに表現した文章になっているそうで、心理的にも情景的にも光と闇を意識して書かれているらしいです。
これは作者であるユゴー氏が幼少期に、性にだらしない父とそれを憎む抑圧の激しい母を見て育ったことにより精神の表と裏を意識していたのではないかと解説されていました。
作品というのは作者の無意識や歓声、関心のあるものが滲み出てこそだと思います。
私が同人音楽を愛するのも、理論だけでは語れない’好み’の部分が大きいからです。
話がずれました。
100分de名著では抜粋的に場面が読み上げられ、その後に教授の解説が入るのですが
深い部分の読み解きがしやすくなるなぁと感じました。
番組内で伊集院光さんが「誰に自己投影するかで今の精神状態がわかる」といった趣旨の発言をしておりましたが、とても納得です。
初見で読む作品は新鮮味があってワクワクドキドキ楽しめますが、
歴史ある古くからの名作においては解説を頭の端に入れておきつつ読み進めることも
気づきが多くて面白いものかと思います。
次週は『点と線』や『砂の器』で有名な松本清張氏の特集だそうです!
全然読んだことありません。