山谷脳中記

創作活動とドールが好きな駆け出しSEの忘備録です。

『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』

久々にブログを書きます。

気まぐれなので気が向いたらかけるようなブログにしようと思っていたので

負担とかやり直したい気持ちがわかないので、

作る時の目標って大事だなぁと思いました。

 

さて、すっかり涼しい夜長になりました。

九月に引っ越しをして通勤時間が延びたので、

本を読みたいなぁと思っていましたが心の余裕がなく…

十月半ばにしてようやく余裕ができたので本を読むことにしました。

 

 メモがてら桜庭一樹さんの『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』について

色々思うところがあったので読書感想文を書こうかと思います。

 

以下、ネタバレ注意

 

 

 

酷いキラキラネームの女の子が転校して来て、

主人公の女の子が振り回されながらも色々なことに気づいていく

 

と、いうのが超ざっくりとしたストーリーです。

 

自分を人魚だと言い張る「海野 藻屑」

転校当初の自己紹介から狂人っぷりが炸裂していますが、

とても綺麗で華奢なイメージで描かれています。

 

一方、この小説の視点である女の子「山田なぎさ」は

貧乏だけど概ね真っ当な普通の子です。

冷めており、海野藻屑に興味を示さなかった為に目を付けられます。

 

作中で「砂糖菓子の弾丸」と表現されているリアルなファンタジー要素。

人魚だと言い張ったり自宅で神になっていたりします。

 

対して「実弾」と表現される現実性が抽象的な表現をわかりやすくしていて

表現したいことがするすると理解できます。

 

この砂糖菓子の弾丸という表現にすごく納得というか、共感しました。

身の回りにいる、力の限りモラトリアムを生きる人たちが持つ武器なのかなぁと。

 

夢に生きて幻想を振りまいている人種。

 

例えば、いつか王子様が…とか、実は超能力者だとか、

救いが来るのを待つ御伽の国の住人。

 

自分の信じるサクセスファンタジーなストーリーを他人に求めてしまう様な、

周りから断絶することで小さな世界の神になる様な…。

 

そういう人に振り回されたりするのはイライラしたり楽しかったり、

感情の持ちどころが迷子になってしまいますが、

そのあたりの描写がすごくしっくりくる表現でした。

 

砂糖菓子の弾丸は周りを疲弊させます。

本当に当てたい人に向かって撃ち放つ内に

当たり前みたいに周りに乱射してしまう気の毒な人々。

 

でも、狙いの相手には当たりづらいことが多いのでは無いかと思います。

なぜなら、ターゲットもまた砂糖菓子にまみれているから。

 

負の連鎖とか、強く生きるとか、色々考えさせられました。

きっと地に足が着いている程に砂糖菓子の威力は高いでしょう。

 

読後感は気持ちの良いものではないですが、

感情の在処について少し自己理解が進んだ気がします。

 

桜庭一樹さんは、GOSICKシリーズで知ったのですが

モチーフを変えずに様々な表現で伝えることが出来る作家さんだなと思います。